日時:2023年8月10日(木) 9:00~11:00
場所:富山市総合体育館 第2アリーナ(2F)
今回初めて、富山市中教研(保健体育部会)よりお声かけ頂き、パラスポーツ体験の指導者として参加してきました。参加者は富山市内の中学校の保健体育の先生方、約50名。
目的としては、中学校の保健体育の授業等で共生の視点を取り入れた授業を行う為、障がい者スポーツを体験し、そのやり方や配慮すべき点を学ぶという事でした。

ブラインドマラソン教室の方々

フライングディスク協会の方々
今回は富山県卓球バレー協会、富山県フライングディスク協会、ブラインドマラソン教室の方々が指導者として各競技を担当して頂きました。
参加者は3つの班に分かれ、下記①~③のパラスポーツ3種目をローテションして1種目約30分の体験を行って頂きました。
①卓球バレー
卓球バレーは、説明用の「絵本」でルールなどを説明し、障害の程度によりラケットの加工も認められている点や、障害によりどうしても球の打ち方に癖がでる場合はその人のみルールも緩める事も出来る事を説明しました。
手に障害のある人は、足の指の間にラケットを挟んで卓球バレーを楽しんでみえるという事例も紹介しました。
色々な障害を持つ人が一緒に楽しめる競技という事を分かって頂けたと思います。
その後、実際に体験が始まると、最初はゆるい球をキッチリ3打で相手コートに打ち返されていましたが、慣れてくると、速いスピードのスマッシュ(全国大会レベルか~?と思う位)を打たれ、得点になると、コート全体が盛り上がっていました。成功して喜び、失敗して笑う卓球バレーを体験をされました。
初心者あるあるで、盛り上がってくると、「自分が打たなくてはと・・・」と思い、椅子からお尻を上げたり、椅子を動かしてしまいます。これは卓球バレーでは「スタンディング」というルール違反になります。事前に説明していても、盛り上がってくると必ずやってしまいます。先生方もこの「あるある」が見受けられました。(笑)
みなさん笑いながら楽しそうに体験して頂けました。
②ブラインドマラソン
まずは2人ずつのペアになり、1人がアイマスクを着用し、もう1人がサポート役となり、2人1組で「見えない事の不安」や「サポートは何が必要か?」を考えてもらいました。
次に磯野あずささんから伴走についての説明がありました。
まずは伴走者(晴眼者)が走者(視覚障害者)を『伴走用ロープ』(「絆」とも呼ばれています)で引っ張りながら走る時、伴走者の注意すべき点を考えてもらいました。
クロックポジション(時計の短針が指している時間を伝える事で、視覚障害者と位置情報を共有できる手段)を使って伝える方法がある事や、コミュニケーションの大切さ、伴走時の注意点などを説明した後、実際にブラインドマラソン教室の視覚障がい者ランナーと『伴走用ロープ』を使用し一緒にランニングを体験してもらいました。
走る前にまずは名前を名乗ってから、コミュニケーションをとった後、歩いたり走ったりしました。ランニングコースに設置したカラーコーンをかわしながら歩いてもらう時、声の指示が遅れ前方の人にぶつかったり、カラーコーンに引っ掛かったりし、アイマスク着用で見えない状況で走る為には、走者と伴走者の信頼関係がとても大切だということを体験を通して学んで頂けたと思います。
初めてアイマスクした人は、恐る恐るのへっぴり腰となってしまい、ロープで引っ張られながら歩いている方もいらっしゃいました。
視覚障がい者ランナーが見えないのにも関わらず走る姿に感嘆の声をあげている先生もいらっしゃいました。やはり体育の先生も感動される程、すごい事なんだと改めて分かりました。
視覚障がい者ランナーの方の感想として、先生方に伴走の大切さを分かってもらえたと思うし、この体験会が楽しかったとおっしゃっていました。後から聞いた話ですが、隣の卓球バレー歓声を聞いて、「楽しそうだね~」と言われていた様で、視覚に障害のある方に卓球バレーを体験をして頂いた事が無かったので、次回どこかの機会で体験してもらう段取りをしたいと思います。
③フライングディスク
アキュラシーゴールを2サイト用意し、1つのサイトは、通常の競技を行ってもらい、もう1つのサイトは視覚障害の方が競技すると想定し、指導するサイトとして分けました。
視覚障害の選手への注意すべき点として、審判が選手を投球する位置まで誘導する時に、身体に触る必要があるので、まずは選手へ声かけをして、誘導します。
視覚障がい者の選手には、事前にスローイングの方向をゴール後方から音で知らせてから投球します。
先生にアイマスクを着用して頂き、視覚が奪われる状態でのゴールにディスクを通す難しさや目の情報を1つ1つ詳細に伝える大変さを実感して頂けたと思います。
指導した方の感想として、今回は視覚障害の視点からの体験会としましたが、聴覚や身体、知的障害と障がいの種類が違うと注意すべき点などが異なるので、それぞれについて体験会を開催してもらい、体育の授業を通して中学生にいろいろな障害があることが分かってもらえていいのかなと思いました。
参加された先生の感想を少し伺いました
・道徳の授業に使えそう
・初めての体験で楽しかった
短い時間の体験会ではありましたが、私達にとってもとても楽しい体験会でした。
先生方にはこの体験を各学校に持ち帰って頂き、生徒さん達にパラスポーツを説明、体験して頂けるとパラスポーツへの理解、障がい者への理解に繋がり、共生社会の実現に向けての1歩となると思います。私達も共に勧めて行きたいと思います。
またご不明な点などありましら、お気軽にお問合せ下さい。
今回、この様な体験会を開催して頂き、お声かけ頂きありがとうございました。
また、今回ご協力頂いた、富山県卓球バレー協会、富山県フライングディスク協会、ブラインドマラソン教室の方々、ご協力ありがとうございました。お疲れ様でした。今後ともよろしくお願い致します。