富山県障がい者スポーツ指導者協議会

教室訪問Vol.6 障害者スキー教室 inタカンボースキー場

令和3年2月6日(土)
富山県南砺市西赤尾町の「タカンボースキー場」にて行われた
「障害者スキー教室(第5回)」の見学に行って来ました。
タカンボースキー場は東海北陸自動車道、五箇山インターから10分程とアクセスの良いスキー場でした。
当日は朝から天気が良く、最高気温が3月下旬位になるとの事でしたが、スキー場は山ん中。朝の空気は冷たく感じましたが、
ゲレンデは朝陽に輝き、昨年と違い豊富に雪がありました。
けど、スキー場の駐車場には雪がなく、車いすもスイスイ走れるベストコンディションな状態
と思いました。

この障害者スキー教室には、障害者スポーツ指導員の中嶋さんがいつもお手伝いされていますが、当日はご都合が悪くお休みでした。
私の他に障害者スポーツ指導員の中谷さんがタカンボースキー場のスキー教室の先生をされているご縁もあり一緒にお手伝いしました。

当日の参加者は
高村俊彦さん(座位)、
山本 修さん(立位)、
松村政男さん(視覚)の3名の指導者を始め、座位の方1名とスノボードの方1名で選手の方は5名。
ボランティアは男性1名+女性2名+中谷さんと私のメンバーでした。

障害者スキー教室代表の高村さんは、各国際大会やパラリンピック3大会(ノルウエー、リメハンメル、長野)に出場されスーパーG、大回転、回転、滑降の各種目でメダルを獲得されたパラリンピアです。

1)車椅子選手の場合、駐車場からゲレンデへ
当日は駐車場に雪がなく車から車椅子に乗り、荷物を降ろした後、駐車場とゲレンデの境目に20センチ程の雪の段差があった為、ゲレンデ側の雪をスコップで駐車場に降ろし、その雪の上にチャアスキーを置き、チェアスキーの横に車椅子を寄せて乗り移りました。
その後は、ゲレンデとの段差を少し崩し、チャアスキーで滑ってゲレンデに乗りました。

障害の程度によりゲレンデまで行く行き方はさまざまで、チャアスキーへの乗り降りにはお手伝いは必要でした。

2)チェアスキーがリフトに乗る時
私は今回見学だったのでスキーの準備がなく、リフト乗り場近くの平な場所で見ていました。
みなさんそれぞれがリフトに乗る姿を離れた場所から見ていた時、チェアスキーがリフトに乗る時に大発見がありました。

チェアスキーはスキー板の上に椅子が乗っています。
その椅子はスキー板から約25センチ程板の上部にあります。左の写真の通りですよね。

リフトに乗った事がある方はご存知と思いますが、リフトの座面の高さは大体「膝の高さ」位です。リフトの座面の方が高いんです。この様な状態をどう回避するかと言うと、チェアスキーには椅子部分がリフトアップする機能が備え付けてあるんです
ですから、リフトに乗る直前にリフトアップさせ、チェアスキーに乗ったままリフト座面に乗れちゃうんです。分かりにくいかもしれませんが、右上の写真です。
そして山頂でリフトから降り、チェアスキーをリフトダウンさせ、滑りを楽しむシステムになっているんです。

その光景を見た時、「すご~い。考えられているな~」と感心しました。
この機能があるお蔭で、障害者のある方がスキーを楽しむハードルが下がっていると実感しました。個人的な感想ですが、近くでリフトアップやリフトダウンが近くで見たかったです。またの機会が楽しみです。

3)視覚障害スキー
皆さんは、視覚障害者のスキーがあるのご存知でしたか?
私は勉強不足で知りませんでした。

視覚障害者のスキーは、伴走する方が選手と間隔を空け前方を滑り、マイクを使い選手に状況を的確に伝えます。選手は身に着けているスピーカーから伴走者の指示を聞いて滑るそうです。
松村さんは今回長い2本の棒を使い前走者と一緒に持ち、ゆっくり滑ってみえました。
この2本の棒は、富山県障害者スポーツ協会さんが、富山市内のスポーツ用品店に発注し、オーダーメイドで作って頂いたそうです。道具も工夫されスキーを楽しんでみえました。
この2本の棒で繋がって滑ると、安全な面もありますが、前走者と選手の息を合わせる事が大切で、練習が必要と聞きました。

4)お昼にレストハウスへ
お昼になり、みんなでレストハウスへ行きました。レストハウス前でチェアスキーから車椅子に乗り移り、スロープが無かったので、車椅子毎レストハウスの階段を上りました。
コロナ渦の為、ボランティアの1名は職場のルールで人が集まるレストハウス内での食事をせず、車の中で食事されていました。
早くコロナが収束し、みんなで一緒に楽しく食事ができる様になればいいな~と思いました。

5)障害者スキーでのお手伝い
障害の種類や程度によってお手伝いする内容は異なりますが、他のボランティアさんに聞いた話です。
・例えば、チェアスキーで転ばれた時は下記2つの場合でお手伝いの内容が異なります。
傾斜面で転んだ時・・・座位の状態から、傾斜面の角度分しか体が倒れていない為、斜面の角度がきつい時は自力で起き上がる事もできるそうです。角度が少し緩いと谷側から引っ張ってもらい起き上がるそうです。
緩斜面で転んだ時・・・座位の状態から身体が90度横に倒れる為、まず自力で起き上がる事は難しいとの事です。手助けする人が背が高い場合は1人で選手を起こす事も可能ですが、そうでない場合は2人で起こしてあげなといけません。

・車からゲレンデ、ゲレンデから車への移動
・レストハウスへの移動
上記以外にもケースバイケースであると思います。

6)私が感じた事
最近は、体育館などのスポーツ施設の駐車場でには障害者用の駐車場が建物の入口近くに設定されていますが、私が知らないだけかもしれませんが、スキー場にあまり見かけないのではないでしょうか?雪が積もると白線も隠れてしまいますが・・・

選手の方は車を運転し、スキー場の駐車場まで来られます。
道具の出し入れや車椅子移動など、ご自身やボランティアの負担軽減の為にゲレンデに近い場所に車を停めると便利ですが、障害者用の駐車場がない場合が多い為、夜明け前に家を出てスキー場に到着し、ベストな場所に車を停め、集合時間まで待っているそうです。そんなご苦労があると分かりました。

スキー場も含め障害のある人がいろいろな所へでかけられる様に、障害者用の駐車場やスロープ、多目的トイレなどの設備が少しずつ増えていくと障害のある人の社会参加やスポーツへの参加と幅も広がり、障害者だけでなく、小さいお子さんとその家族の方々にも喜ばれる施設になると思います。どの施設でもそうなればいいな~と思いました。

最後に
今回は見学だけでしたのでゲレンデ下から山を見上げ、広いゲレンデを見渡しながら、どれかな~?見つけた!を思ったら、もう近くで華麗な滑りの一部分しか見れなかった事が
ちょっと残念でしたが、障害者スキーを少し知る事が出来きとても有意義な時間でした。
久しぶりのゲレンデ、天気にも恵まれ、新しい出会い、発見があり充実じた見学でした。
お世話になった方々ありがとうございました。

障害者スキーに参加されたい方や
スキーやスノボーをやられる方ではお手伝いに参加されたい方がみえましたら、
今年は残り3回教室開催予定があるそうです。
第6回 2月14日(日)9:00集合 10:00~15:00 イオックスアローザ
第7回 2月20日(土)   〃      〃      極楽坂スキー場
第8回 2月28日(日)   〃      〃      たいらスキー場
参加の際は、事前に代表の高村さんに連絡をお願いします。
連絡先は「富山県障害者スポーツ協会」のホームページの「スポーツ教室・クラブ関係」の中に「スポーツ教室のご案内(パンフレット)」がありますのでお手数ですがそちらをご確認下さい。